控え目だった蝉が、
いつしかやかましいほど鳴くようになって参りました。
「七年も土の中にいたんだもの。
一週間くらいがまんしなさいよ」
そんな蝉の声も聞こえてきそうなので、
皆さんも一緒に我慢いたしましょ。(笑)
今日は盂蘭盆の法要がありました。
八月のところが多いのですが、
私どもの寺院では七月に行います。
キュウリの馬とナスの牛。(※住職夫人作)
早馬に乗ってきて、
ウシでゆっくり帰ってもらう。
精霊に対する切ないまでの深い思いが感じられます。
でもうちの場合、
「みんなせっかちだったから、馬だけでいいんじゃない?」
「そーだね~。ならバイク、いや。ポルシェかなんかのミニカーおいとこうか」
ですって。(笑)
お盆の由来はお釈迦様ご在世当時にさかのぼります。
十大弟子のおひとり、
神通第一と称された目連尊者がある日、
亡くなったお母様はいったいどこにおられるのだろうと
通力を使って探しました。
するとあろうことか餓鬼界に堕ちてしまっていたのです。
がりがりにやせ細り、手足はまるで針のよう。
お腹だけぷっくりと膨らんでいます。
お母様は「青提女」(しょうだいにょ)と言います。
青提女は自分を見る目連尊者を見つけ、
手を差しべて必死に食べ物を乞うのです。
目連尊者はすぐに通力をもって母のもとに食べ物を差し出しました。
青提女はすぐさまその食べ物を口の中に入れ込みました。
するとどうしたことでしょう。
食べ物はたちまちのうちに火になり、
青提女の体を燃やしはじめてしまったのです。
目連尊者はあわてて通力で水をかけましたが、
それが薪をくべてしまったようにますます火が盛んになってしまったのです。
自分の力では及ばないことを知った目連尊者はお釈迦様のもとに走り、
どうしたらよいのでしょうかと泣きながら相談致しました。
お釈迦様は、
「お前の母親は生前、物がありながら物惜しみをして人に施さなかった。
その『慳貪罪(けんどんざい)』により餓鬼界に堕ちてしまったのだ。
夏安居(げあんご・個々に活動していた僧侶たちが、雨期の一定期間、一カ所に集まって集団で修行する)が終わり、戻ってきた僧たちに多くの供物を捧げて供養すれば、餓鬼界の苦しみから逃れることができるであろう」
と仰せになりました。
目連尊者はお釈迦様の言うとおりに行ったことで、
母親を餓鬼界の苦しみから助けることができました、というお話です。
明日の夕方は送り火を焚いて精霊をお送り致します。
やっぱりナスの牛さんで帰って頂きたいな。
また来年、
早馬で帰ってきて下さいね。
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