2014年4月20日日曜日

不思議な日


丁度一週間前の日曜日の事です。

翌日の14日は私にとってとても大切だった方の御命日。

午前中は檀信徒さん5人とお堂のお掃除を致しました。


「あれ?」

ふと鼻をかすめる香りがありました。

とっても甘い匂いです。

確かにお堂には花が活けてありましたが、その香りではありません。

お堂にいる皆さんに、
「何か甘いにおいがするよね」と聞いてみたところ、
みな鼻をくんくんしたあと、一様に「匂わない」と言います。

濃い香りといいますか、決して淡くはない香りです。

お堂の横で満開になっている桜ではないかという人もいましたが、
桜の匂いでもない。

お線香は伽羅の香りですからまったく違います。

洗濯した時の柔軟剤ではないかという人もあり、
全員の服の匂いをかいでみましたが、違いました。

そのうち一人が、
「あ。甘い香りがする」と言い出しました。

でも他の人にはやはり分からなかったのです。



そしてお昼になりました。

みんながわいわいがやがやと昼食タイム。

その中に一組の家族がありました。

六歳の女の子とそのご両親。

傍から見れば、幸せそうな家族風景です。

ただ、その女の子は話せません。

耳は聞こえますが、
言葉が出てこないのです。

ご両親はそれが分かってよりたいそう悩み苦しんできました。

でもようやく心が整理されたのか、
とても明るくなってきていました。

この日もみんなで楽しく食事をしていたのですが、
その女の子はよほど喉が渇いていたのでしょう。

お水が注いであったコップをとり、
ぐいっと一口飲んだところで、とっても嬉しそうな顔をしました。

子供の笑顔は天下一品。

私達もなんだか嬉しくなってしまうほどです。

「よかったね。美味しいの?」と誰かが言った時、

彼女は「おいしい」と私達が聞き取れるほどはっきり言ったのです。

みんな驚いて彼女見ました。

すると彼女はまた一口飲んで、
「おい・・」と言ったのです。


ご両親の喜びはいかばかりだったでしょう。


お堂でのことといい、この女の子のことといい、

不思議なことってあるものです。

でもこんな悦びのある不思議なことは、
大歓迎です。(*^^*)


※今、境内にはシャガというお花が沢山咲いています。
youtubeにアップしてみましたので、
どうぞご覧になってみてくださいまし。

https://www.youtube.com/watch?v=_vTZWwAJ0Ko










4 件のコメント:

  1. 木蘭様
    子どもの笑顔が好きなしまふくろうでございます。

    不思議なことってあるんですね。
    本人も驚いただろうし、親御さんの喜びも尋常一様ではなかっただろうと
    拝察いたします。

    『奇跡の人』という映画がありました。
    ヘレンケラーの半生を描いた、心温まる映画でした。

    あの中に、パティ・デューク演ずるヘレンが、
    井戸端で「wwww……w a t e r」と言葉を発する場面があります。
    あのシーンは感動的でした。

    人間とチンパンジーの間には、1.6%の遺伝子の違いしかないのに、
    人間の脳はチンパンジーの約4倍もの大きさがあるといいます。
    なぜか? 人類は言語を獲得したからであります。

    言葉がなければ悩むことも思索することもできません。
    深くものを考えるためには、語彙を増やすしかないのです。

    「おいしい」と思わず口にした女の子。
    ホトケ様のご加護なのか、
    いっぱい幸せになってほしいですね。


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    1. しまふくろうさま、こんばんは。(*^^*)

      ヘレンケラーはまさしく「奇跡の人」です。

      知人に中年近くになってから失明してしまわれた方がいらっしゃいます。
      目が見えずとも仕事ができるようにと鍼灸の学校へ行かれたそうです。

      お話をしていた時、
      「ボクはまだいいんですよ。リンゴと聞いても、赤と聞いても、色も形も心に浮かぶから。最初から見えない人には、リンゴの形も赤という色も、どんなものだか分からないのですから」

      三重苦のヘレンを教えたサリバン先生もすごいし、
      それを受け止めて克服していったヘレンもすごいです。

      考え、思うだけでも目頭が熱くなってきます。


      彼女のご両親。
      当初はまったく受け入れられず、
      苦悩している様子が手に取るように伝わっていました。

      だんだんと現実を受け入れられるようになってから、
      彼女連れて、お休みごとにお寺に来てはお掃除などを手伝いにきていました。

      そしてご両親ともに徐々に明るくなり変わっていった事で、
      彼女にも変化が訪れたのかもしれませんね。

      「お寺に来るようになったら、いいことが沢山できました」と、彼女のお母様が笑顔で言って下さったことも、
      嬉しいことのひとつです。(*^^*)

      その人の素直な心持ちひとつが、
      神仏にすうっと届くのです。

      願わずとも・・・。


      彼女の幸せを願って下さり、
      ありがとうございます。

      そんな優しいしまふくろうさまにも、
      幸せがたくさん訪れますように。(*^^*)


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  2. 木蘭さま

    こんばんは!
    不思議が起ることがあると信じている田舎者です。

    木蘭さんのお寺はお寺らしいお寺ですね。

    素敵なお話ありがとうございます。

























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    1. 田舎者さま、こんにちは。(*^^*)

      お寺はもともと亡くなった方のためだけにあるものではありません。

      生きる人のために寺院は存在するのです。

      生きているからこそ沢山の悩みや苦しみがある。
      そうしたものを少しずつ乗り越え、
      よりよく生きることを説くために僧侶はあるのです。

      不思議な出来事は、
      みなさんの純新純粋な願いや祈りで起こります。

      欲深なお坊さんの力なんかでは出てきやしません。(笑)


      またそんなお話があったらアップしますね。(*^^*)


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