2015年4月20日月曜日

歴史の「いのち」

ここのところ雨が多いですね。

今夜はこれから雨風が強まるみたいです。
暖かくなったのはよいのですが、
なかなか私たち人間の願うようには参りません。

「お日様が出てきたら、またおもいっきりお洗濯しよう」

こんなささやかな楽しみを持ちながら、
からっとしたお天気を待ち望んでいます。



だいぶ前に買ったのですが、
「歴史の『いのち』」(モラロジー研究所・占部賢志著)という本を引っ張り出して読んでいます。


占部氏は岡潔氏と小林秀雄氏を尊敬していたそうです。
大学一年の時、たまたま岡氏の講演を聴く機会があり、
その時に「人間にとって最も大切な感情は『懐旧の情』である」と岡氏は説かれたそうです。
占部氏は親の仕事の関係で小中学生の頃は毎年のように転校を余儀なくされていたので「自分には故郷がない。懐旧の情を育てるはずの故郷を持たない僕はどうしたらいいのですか」と岡氏に質問をしたところ、
「そんなことはない。君には日本の歴史があるじゃないか。
日本の古典を読みなさい。懐かしさというものがどういうものかきっとわかります」と応じられたそうです。


また大学三年の時、小林秀雄氏の講演を聴くことができたそうです。
アルバイトをして得たお金をつぎ込んで「小林秀雄全集」を買い、愛読していた占部氏は、どうしても「小林先生に会いたい」と、どうにか宿泊先のホテル名を講演会の主催側から聞いて待ち伏せしました。

「非礼を承知の上でどうしても質問したいことがあってお待ちしていました」
と切り出したところ、小林氏は「いいえ、構いません。何でしょうか」と受けてくださったのです。

そこで「先生は、歴史を知るとは自己を知ることだとおっしゃっていますが、どうして自己を知ることになるんでしょうか」と質問をしました。

小林氏は「君は歴史が自分の外側にあると考えますか」と逆に聞かれました。
答えに窮していると小林氏は占部氏の両腕をとられ、

「君のこの身体は誰が生んでくれたものですか。君のおっかさんだろう。
君のおっかさんのことを考えてみたまえ。
おっかさんのすべては君の身体の内に流れているんだぞ。そうだろう。そうすると君がおっかさんを大切にするってことは、君自身を大切にするってことになるじゃないか」

小林氏はぐっと歩み寄り、
「君のこの肩には、おっかさんのすべてのものがかかっているんだ。
つまり歴史を考えるとは、君のおっかさんのことを考えることだぞ。
もっと昔のことを考えてごらん。千年前のことだって同じだ。
君のこの肩には日本の千年の重みがかかっているんだよ。

いいかい、君の身体には、祖先の血が流れているんだよ。
それが歴史というものなんだ」


この本の「はじめに」の部分に書かれていたものですが、
このお話だけで「この本を買った甲斐があった」と思うほどです。


現代の歴史教育は「自分の外側の歴史」なのだと思いました。
 
ー私達の身体には祖先の血が流れているー
それを教えるのがまことの歴史教育というものなのですね。


 
今読んでいる本です。
「日本人になりたい人」はどうぞご一読を。
















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